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1956年の作品。 今年の4月くらいにBSで放映されたのを録画しておいたのだったと思う。 この映画でピアノに魅せられる人も少なくないようだ。 キーボードプレイヤーのミッキー吉野もこの映画に影響を受けたことを語っていたと記憶している。 カラーということもあり、映像からそれほど古さを感じさせないが、やはり内容は50年近くも前のもの。 今風の味付けに慣れてしまった目から見ると、お話を綺麗にまとめあげているところがかえって気になってしまう。 内容は「グレン・ミラー物語」のピアニスト版といったところか。 しかし、ピアニスト、エディ・デューチンの成功物語というよりは、どちらかというと彼の恵まれなかった私生活に焦点をあてている。 実力あってこその成功には違いないが、そこに至る過程については、映画を観る限り、ラッキーだったしか言いようがなくそこに感動はない。 一方、私生活では、妻が我が子を出産した直後に亡くなってしまい、そこから悲劇が始まる。 妻を亡くしたショックで生まれた子供に愛情を注げない、というのはよくある話。 映画の後半は、いかに子供を受け入れられるようになったかを描いている。 そこはもっと壮絶であるべきなのだが、葛藤はあるものの、リアリティに欠ける。 父子が心を通わせられるようになったところで、父親は不治の病にかかっていることを知る。 「時間が足りない」とはなんと残酷な運命。 まぁ、時間を足りなくしてしまった原因はエディ・デューチンにもある。 子供から逃げてツアーで世界を回るような生活をできたことは、彼にとって幸か不幸かわからない。 父が有名な人気音楽家でなく、演奏旅行と言う口実で逃げる場所がなければもっと早く立ち直れたかもしれない、と思わなくもない。 余命が限られていることを宣告されてから、エディ・デューチンは息子の世話係を務めていた 若い女性と再婚する。 彼女にはもっと別の人生を選択する余地もあったのではないかと思ってしまうのは、 少々意地悪な見方か…。 ともあれ、最後に限られた時間ながら父子は母親を交えた家庭をもつことができる。 エディ・デューチンが亡くなった事を暗示するラストシーンのせいか、めでたしめでたし、というハッピーエンドではないのだが、きっとエディ・デューチンは晩年を幸せに過ごしたに違いない、と思わせる。 ストーリーだけとってみると、物足りないのだが、そこは実在の人物の半生を描いている、という事実の裏打ちと、映画を彩る音楽の美しさとマジックで補っている。 やはり音楽の持つパワーというのは素晴らしい。
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