英仏の合作。
フランスのお話なのでいっそのことフランス語の方が良かったのではないかと思うのだが、英語。
『マダム』『ムッシュー』なんていう語はそのまま使われているのですが、なんだかねぇ…。
“宮廷料理人”というのは日本でつけられた邦題のおまけ。原題は「Vatel」。
映画を見終わって思うことは、原題そのままの方がよっぽどよかったのでは…。
とはいっても「ヴァテール」という人名にピンとくる日本人はほとんどいないだろうし、
難しいところ。
ホイップ・クリームの考案者だなんて知らなかった。
ヴァテールの料理人としてのこういったエピソードはさりげなくストーリーに織り込まれている。
宮廷料理人というおまけが余計、と言ったのは、映画で描かれているストーリーでは、ヴァテールは
料理人というよりもむしろイベント・ディレクター。
イベントの中心となる料理のメニューを考えてはいるが、実際にそれを作っている暇などほとんどない。
料理と共に楽しんでもらう余興まで全て計画、実行しなければならないからだ。
そして裏方のトップとして奮闘する姿をえがいているのがこの映画。
そして「ヴァテール」は「シラノ」とはまったく違った雰囲気をもつ人物で、
同じドパルデューとは思えないくらい。
とはいってもあの特徴ある顔はドパルデュー以外の何者でもないけれど。
こんな役も難なくこなしているところがドパルデューの上手いところなんだが、
「お茶目さ」がないのが残念。そういう役なんだから仕方ないのだが。
映画を観ると、
当時の貴族っていうのがいかに嫌なタイプの人間かというのはよくわかるが、
「ヴァテール」がなぜ自殺したのかは…はてさて何と言ったらいいのやら、すっきりしないものが残る。
恋愛話がからんでしまって、むしろ、本質から遠ざかってしまったのではないだろうか。
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