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電話をなくした。
電話を持ち歩くようになってかれこれ10年近くたつが、ここまで本格的になくしたのは初めてだ。
持って出るのを忘れる、立ち寄ったお店で忘れる、というのは過去に何度かやっているのだが、すぐに電話が見つかるなり、ありかがはっきりするなりで大事には至らなかった。
今回は、かなり“青い”。
人を疑うことはしたくないが、悪意をもってスラレタ、という可能性を否定できないからだ。
しかし、悪意がなくても非常事態で他人のを盗ってでも電話が欲しい時ってあるよなぁ、なんてドラマの一シーンみたいなシチュエーションまで考えてしまった。
最新機種の携帯ではなく、時代遅れの型(カメラも何にもついてない!)のPHSなので、狙って盗られた、ということはまずないだろう。
いや、希少価値(?)のPHSだから盗られた?な〜んてね(笑)。
他人のせいにするのはやめよう。
十中八九、混雑した電車の中でもまれてストラップがひっかかりポケットから落ちた、そしてそれに私が気付かなかった、という状況だったと思う。


PHSを使っているくらいなので、自分はそれほど電話依存な生活をしているとは思っていなかった。
なにしろしょっちゅう持って出るのを忘れるくらいだ。
しかし、今回、電話が手元にないことがいかに無力かということを嫌というほど思い知らされた気がする。
まず頭に浮かんだことが、電話をとめなくてはいけないということ。
しかし何処に連絡したらいいかわからない。
財布を紛失した時の用心のために、クレジットカード会社やら銀行の電話番号は電話に登録してある。
…が、電話を紛失した時の対策は怠っていたのだ。
念のためメモ帳をめくってみるが、情報は皆無。
(このメモ帳をなくしたらそれはそれでエライことだ。)
たとえ、メモがあったとしても、いったいどうやって電話をかけるというのだ。
改めて見回すと、公衆電話がまったく見当たらない。
もし、連絡すべき番号がわかったのであれば、もう少し真剣に公衆電話を探すとか、誰かに泣きついて電話を貸してもらったかもしれないが、かけるべき番号もわからないのにそれはできない。
次に考えたのが電話ショップ。
普段、入り用のないときは随分と目に付くものだが、こういう時に限ってまったく見つからない。
仮に見つかったとしてもかなりの確率で営業時間は終了しているはず。


とにかく、電話を止めるべく、連絡の番号を調べなければならない。
手元にはパソコンもない、電話もない…調べたくても調べられない。
あとは電話番号案内か?でも公衆電話は見当たらない。
ネットカフェに行けば調べられるか?
誰かに泣きついて調べてもらうか?
…う〜む、さっさと帰宅するのが早いか?
手元に電話がない不便さを痛感。


さて、帰宅。
パソコンを開けて早速調べる。
電話。
止める。
...止める前にいったん自分の番号にかけてみれば良かったかな?...ま、いいか。
誰が出るかわからないのも怖いし。
次、遺失物センター。
うっそぉ、話中。
かからない、かからない、かからない、やっとかかった!
事情を話し、範囲を広げて検索してもらったが、該当する電話の落し物は届いてなかった。
しかし拾われていても情報が入力されていなければ検索できないとのこと。
これは再度、電話をかけて尋ねるしかないらしい。


以前、定期を落として最寄の私鉄の駅に尋ねた時はとても親切だった。
見つかったら連絡してくれると言っていた。
まぁ、しかし今回は失くしたのが電話だから連絡先といっても難しい。


一夜明けて、再び遺失物センターに電話。
また話中。
やっとかかったと思ったら、対応してくれた人があまり親切でなかった。
「えぇ〜電話?」という雰囲気がにじみ出ている。
失くした電話を探している私は必死だが、対応してくれる側からみれば、面倒な客。
だって何も失くさない客にはこんな手間はかからない。
手間をかけていることを申し訳なく思いつつ、もうちょっと親身になってくれてもいいのになぁ、と思ってしまった。
相変わらず見つからない。


失くした方を探す一方で、早くも端末乗り換えの算段を始める。
諸事情により、即乗り換えには至らなかったのだが、とりあえず端末の予約だけしておいた。
あまりこだわりがないので最新機種ではない。
気持ち的には、乗り換えてもいいと思っているのだが、失くした方がなくなったままというのは少々気味悪い。
だって、情報の宝庫だからね。
自分が情報を参照できなくなるのは対した痛手ではないが、アドレス帳やらメール・ログの個人情報が流出するのは申し訳ない。
一度自分の手元を離れた以上、悪意がある者の手に渡れば、情報はすぐに抜き取られるだろう。
しかし、PHSだからおそらく敷居はちょっと高い。
壊れててもいいから、失くした電話が手元に戻ってくる方がいくらか安心できる。
なので、遺失物センターに何度も電話をかける。
まぁ、しかし、どうしてこうすぐにつながらないのだろう。
遺失物センターの電話に人をはりつけているコストは、誰も落し物を探さなければかからないコストだ。
申し訳ないなぁ、と思いつつ、あまり親身になって対応してくれないとイヤ〜な感じ。

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