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第126回直木賞受賞作。

これまで何作か唯川恵さんの小説を読んだ。 等身大の女性が登場人物で、読者が共感したり感情移入しやすいパタンの作品が多かった。 こう言ってしまうとなんだが、少女マンガやコバルト文庫を読んで育った世代が、大人になって読みやすいものってイメージ。 ところがこれはちょっと違った。

登場するのは、ちょっと変わった人物ばかり。 女には好かれないが男にはモテまくりでそれを最大限利用して生きていくタイプのるり子。 そんなるり子の唯一の女友達が萌。 るり子とはまったく違うタイプで一見ごく普通っぽいが、るり子につきあっていけるだけあってやはり一癖も二癖もあるといっていいと思う。 こんな女性二人が主たる登場人物なので、共感するとか感情移入するというより、客観的に面白い。 この二人に、崇という15歳の家出少年が加わる。 彼の家出の動機はちょっぴり複雑、でもありがちな家庭環境のせい。 ひょんなことから三人の奇妙な共同生活が始まる。

この人物達に、ごく普通のサラリーマン柿崎と、彼の同級生でゲイの文ちゃん、そして同じくゲイのリョウという人物が物語に幅を添える。 これだけいろいろなタイプの人物が登場するわりには、ストーリーとしてまとまっていてすんなり読める。 るり子はイヤなタイプの女だけれど、彼女ほど自分のやり方に明快に生きられれば(無理だけど)人生は楽しいかもしれない。

崇と関係をもって、彼に知らせずに(そりゃそーだ!)にシングル・マザーの道を選ぶ萌の将来像は良く見えない。 そこまでドラマティックな要素を盛り込まなくても…と思った。 女として旬の時期を過ぎたことをつきつけられるるり子に対して、萌にもショッキングな転機を入れないといけなかったのかもしれない。 ショッキングというより萌は淡々とその事実を受け止めているように描かれている。 それだけに、そんな簡単なことじゃないだろー!と思うのだが、一つの物語の結末としてはこんなところが打倒なのだろう。

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