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すごい荒っぽい言い方をすればマリッジ・ブルーの話と言えなくもない。 普通にマリッジ・ブルーを描いても小説として成り立ちそうだが、これはそんな単純な話ではない。

登場人物はちょっと遅めの結婚が決まった早映。 卓之との婚約が決まって早映の周囲に現われた人物がいる。 彼の叔母(といっても若い)優子。 優子の夫は卓之の同級生。 さらに麻紗子というダンサー。 実は、早映と麻紗子は再会だった。 麻紗子は平凡なOL早映とは、まったく別の価値観を持ち別の生き方をしている。 一言で言えば自由奔放。

早映は、卓之の実家では未来の嫁としてふるまう。 そこでは優子は良くも悪くも小姑。 帰宅後、早映は服装を変え、化粧を変え、麻紗子の世界に繰り出して行く。 これだけだったら話は、結婚前に別の世界を垣間見た女性の話で終ってしまう。 事態はもう少し複雑で衝撃的だ。

結局、早映は結婚をキャンセルできない。 爆弾をかかえて結婚式を挙げるようなものだ。 でもそれを選択せざるを得ない状況もよくわかる。 卓之をもっと描きこんで欲しかったなぁ、と思うが、男性キャラが物足りないのは唯川恵さんの作品にはありがちなパタン。

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