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“金沢で置屋のおかみをしていた祖母、そこの芸妓だった母、そして血のつながりはない娘二人の物語”ということで、真っ先に連想したのは、谷崎潤一郎の「細雪」、渡辺淳一の「化粧」。 世界観としてはそんなところを狙ったのではないのか、と思うのだがどうだろう。 それとも古都 - 置屋 - 芸妓という設定は、血のつながりのない親子三代の家族を作り出す為だけのものだったのだろうか。

読み始める前から大作を期待してしまったせいかもしれないが、何か物足りない、物語として作りこみが甘いような印象を持った。 二人の娘は正反対の性格で、というのは話を作るうえでの常套手段かもしれないが、どこがどう正反対なのかよくわからない。 性格の違いがどう筋に反映しているのか、どう生かされているのか感じられないまま読み終えてしまった。 この程度だったら「正反対だ」と物語の中で強調しなくてもいいように思った。

祖母と母の結婚話にからめて、娘二人のそれぞれの仕事と恋愛話が進行していく。 それらが絶妙に絡まっているというわけでもなく、バラバラの人生を並行に語る手段にしかなっていないような気がした。 よーするに仕事と恋愛に揺れる二十代後半の娘の話じゃん。 みたいな...。 設定を生かしきっていないような気がして、それが物足りなく感じた理由なのだろう。

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