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読んだのは半年くらい前のことだ。 映画「つぐない」の原作「贖罪」の読後に同じ作者のものを、と思い読んでそのままになっていたが、思い出したのでレビューしておく。 思い出した理由は、これが「四つの嘘」「今夜誰のとなりで眠る」と同じように一人の人間の死をきっかけにストーリーが始まるからだ。 ことわっておくが、小説のスタイルもテイストもタイプも全く違う。 「贖罪」と同様、シニカルというかトリッキーというか、そして結末は現代風でニヒルである。

モリーという女性が亡くなる。 夫はいたが、彼女の葬儀にはかつて彼女と関係があった著名な作曲家、大新聞社の編集長、次期首相候補の外務大臣といった早々たる顔ぶれが集まる。 彼らの夫に対する気持ちは微妙、そしてお互いのお互いに対する気持ちも微妙。 彼らを通して浮かび上がっているモリーという女性は、いったいどういう女性だったのだろうか。 自由奔放で仕事もできて…、いまいち血肉の通った人間として伝わってこないのだが、これだけの大物達を虜にした彼女は良い意味でも悪い意味でもさぞかし魅力的な人物だったと察する。

そんな微妙な関係の中、彼女が生前撮ったスキャンダラスな外務大臣の写真から、事態は急展開していく。

なぜこの小説のタイトルがアムステルダムなのか最後の最後までわからなかった。

アムステルダムのあるオランダは、安楽死を唯一合法と認めている国だということがヒント。

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