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FOX CHANNELで放映されていたのを観た。
1挺のバイオリンをめぐる17世紀のイタリアからオーストリア、イギリス、中国、そして現代のカナダにまたがる壮大なストーリー。
これだけの時間空間をまたがる物語を2時間強に詰め込むには少々無理があったように思う。
何か物足りない。
もっと時間をかけてもいいから、もっと細かく描いて欲しかった。


現代のオークションの場面と今までバイオリンが辿ってきた旅が交差しているつくりはなかなか面白い。
オークションの場面は繰り返し、角度・視点を変えて描かれる。
少しずつ謎に迫っていくミステリー的な要素もある。
謎=レッド・バイオリンが名器の理由、というよりは、謎が明らかになったことによってそれは呪いのような超常現象的な神秘がバイオリンにあるという感じ。
謎に関してはあってもなくても、きっとバイオリンそのものは名器だったのだろう。
では、バイオリンを手にした人は、そのバイオリンを手にした故、呪われたのか?というと、そういうわけでもないように思う。


現代のオークションで「あのレッド・バイオリン」と言われ、さも有名な名器かのように扱われるが、レッド・バイオリンが世間の表舞台に出たのは、イギリスの音楽家が手にした時だけだ。
競り落とそうと競う人々は、レッド・バイオリンの過去の持ち主にゆかりのある人が主なので、欲しがるのはわかるのだが、世間一般的に広く価値を認められているものかというとその辺が謎。
それにしても、名器であるバイオリンを惜しげもなく孤児の亡がらと共に埋葬してしまう修道僧、そして墓を暴かれて盗まれたバイオリンを大枚はたいて取り戻そうとする…あの修道院はそんなに余裕があるのでしょうかねぇ。


一番の謎は、サミュエル・L・ジャクソン演じる一介の鑑定士が、なぜそれほどレッド・バイオリンに魅せられたか。
危険をおかしてすり替えを企むほどのことだったのか、その辺が描かれていない。
裏市場に流して大儲け、という方がまだわかりやすいのだが、彼は娘への手みやげに持って変えると言うから余計に悩んでしまう。
占い師の言葉でも、レッド・バイオリンの長い旅はそこで終ることになっている。
レッド・バイオリンの旅はそこで終らず数奇な運命がこれからも待ち構えている、みたいなオチもありだと思うのだが…。


すり替えをスリリングに盛り上げておきながら、最後があっけないだけに、説明不足も重なって物足りなさが残ってしまう。
題材としての材料は申し分ないので、料理の仕方次第ではもっと面白くなりそうなだけに少々残念。


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