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テネシー・ウィリアムズの戯曲の映画化である。
娯楽的というよりは考えさせられる内容。
難解ではないが奥深い。
下手なあらすじや解説だけでは誤解を招くのではないだろうか。


マーロン・ブランドを始めほとんどはメソッド流演技のアメリカ舞台版キャストが映画でもそのままキャスティングされた。
ただ、主役のブランチ演じる女優は客をとれるスター、ということでイギリス舞台版のヴィヴィアン・リーがキャスティングされた。
ヴィヴィアン・リーの夫のローレンス・オリビエはメソッド流演技にはまったく興味がない(むしろ否定的?)だったことを考えるとこれは興味深いことかもしれない。
また、「風と共に去りぬ」で美女を演じたヴィヴィアン・リーが、なりふりかまわず零落れた女を演じるのも凄い。
共通点は両方とも南部女性ということだけ。
彼女はスターである前に女優だった。
そしてこの映画で「風と共に去りぬ」に続いて二度目のオスカーを手にする。


戯曲のタイトルにもなっている「欲望」という名前の列車が、戯曲の舞台になっているニュー・オルリンズではかつて実際に走っていたと言う。
ブランチの台詞に出てくる「墓場」「極楽」も実在したという。
これはあまりにも出来すぎている。
出来すぎているのだが、この信じられないような設定に、最初はまず戸惑うのではないだろうか。
映像は白黒で重苦しい雰囲気が流れている。
初めてこの映画を観た時はこの重苦しい雰囲気についていけず終ってしまった。
映画は、当時の表現の規制のためわかりにくくなっている部分がある。
現在DVDで観られるのはディレクターズカット版で、当時カットせざるを得なかった場面を復元したものだがそれでもわかりにくい。


二度三度観るうちに、戯曲の本質に近付いていけるような気がする。


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