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世間一般的には評価されているヒッチコック作品ということで、期待して観たのだが、期待が大きすぎたのだろうか…ちょっとがっかりした、というのが個人的な正直な感想。


最初は面白い。
一般市民(広告会社の社長)がスパイに間違えられ拉致され殺されかける。
間一髪で奇跡的に切り抜け生還するが、誰も信じない。
この辺りはミステリーの幕開けといった感じで楽しめる。
誰にも信じてもらえない主人公(ケイリー・グラント)は、自ら真相究明に乗り出す。
忙しい社長さんなんだから、悪夢と思い忘れればいいのに、と思わなくもない。
が、いずれにせよ再び狙われるのは明らかだから、少しくらい好奇心旺盛の方が面白いかもしれない。


ところが、これが「少しくらい」ではなくなる。
国連ビルに出かけていく辺りから、普通そこまでするかなぁ?と思い始める。
だって主人公は多忙な社長だ。
事態を解明するどころか、ここで殺人犯に仕立て上げられてしまう。
逃げる。


この逃亡劇が出来すぎている。
一瞬で危機を察知して切符売り場をすり抜けていき、しかも成功してしまうなんて、常人のやることとは思えない。
その後は、謎の美女(エヴァ・マリー・セイント)に助けられ切り抜けるのだから、筋書き通りというところか…。


トウモロコシ畑でセスナに襲われ切り抜けた辺りから、常人を超越した超人度が増してくる。
主人公は本職のスパイ顔負けかも、というくらいの行動力で、事件にどんどんクビを突っ込んでいく。
この時点で、普通の広告会社の社長さんなら、命の一つや二つ落としていても不思議ではない。
本当はこの辺で面白さを感じなくてはいけないのだろうが、主人公の超人度についていけなくなってきた時点で、話にもついていけなくなってしまった。
超人的な活躍そして見せるのが例えばジェームズ・ボンドだったら違和感無く観られるのに…(笑)。


謎の美女の正体がはっきりしたところで、エンディングになるのかと思ったらまだ先があった。
確かに何も解決してはいないが、主人公的にはここで終ってもいいではないか。
長い…。


主人公はさらに超人的な活躍を続ける。
追い詰められてラシュモア山の上に出てしまう詰めの甘さは素人だが、そこを降りる、なんて常軌を逸している。
ここはハラハラの見せ所なのだろうが、どう考えても、片手に荷物をもってハイヒールにスカートの女性を助けつつ降りるなんて、リアリティがなさすぎる。
この場面は、撮影の素晴らしさの方に、素直に感心するしかない。
冗談みたいにラストにつなげてくれたのはせめてもの救いか。


もし、この作品が好きな方が読んでいらしたら…「ごめんなさい」

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