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1979年フランス・イギリス合作。日本公開1980年。カラー、171分。 原作は Thomas Hardy が1891年に発表した「Tess of the D'Urbervilles (ダーバビル家のテス) A Pure Woman」。 公開当時、大作(?)ということで随分と話題になったような記憶があります。 実際に観たのは、数年後、テレビで放映された時。 イギリスの田舎といっていいのか田園風景がとても美しく撮れていて素敵。 もちろん、主役の薄幸のテス演じるナスターシャ・キンスキーも綺麗。 最後、テスは古代遺跡のストーン・ヘンジに辿り着くのですが、その光景が強く印象に残りました。 ストーリーは、はっきり言って救われないものです。 翻訳された原作も読みましたが、そのストーリーはほとんど忘れてしまっていました。 cinefil imagicaで放映されていたので、再度観ました。 ストーリーについては19世紀的な悲劇なので、現代的な視点で見るといろいろ言う人はいるでしょう。 でも、19世紀的な雰囲気をふんだんにかもし出す絵作りと合わせて、当時を想像してみるのがいいのではないでしょうか。 …とはいえ、この原作は、発表当時はその時の道徳観に縛られて、批判を浴びたり、文章を一部削除されたりしたそうです。 ビクトリア朝時代ですからねぇ…。 そんな時代でなければ、テスも悪戯な運命にこんなに翻弄されることはなかったわけです。 美しくて、聡明で、正義感が強くて、でも気が強いというわけでなくもろい面も持っていて、そんなテスに ナスターシャ・キンスキーははまり役でした。 そんなテスをとりまく二人の男が出てきます。 単純に考えれば、一方が悪いヤツで一方が良いヤツなんですが、 必ずしもそう割り切れないところが複雑です。 悪いヤツが徹底的に悪ければ憎みようもあるのですが、 すぐにポイとテスを捨てて音沙汰なし、というわけではなく、 条件付ではありますが、主を失い路頭に迷ったテスの家族の面倒をみるのです。 一方、テスを見捨てていった良いヤツのふりをした夫になった男。 進歩的、先進的な考えの持ち主と見せかけて、実は凝り固まった古い道徳観にしばられています。 結局そんなもの、というところがまた悲劇で、 いっそのこと離婚してテスを見捨てていった方が親切だったのではないかと思うのですが、 世間体を気にしてか、そうはしません。 結局、改心して戻ってくるのですが、その後、一途なのには少々びっくり。 いくら思い直しても、戻ってきたら事情はあるにせよ妻が他の男といたら、 そして、妻が犯罪を犯してきたら、気持ちはかなり冷めると思うのですが…。 (原作ではその辺り、もう少し書き込んであるのでしょうか。また読んでみないと。) 最後は逃避行の末、ストーン・ヘンジに辿り着くのですが、キリスト教徒にとっては遺跡というよりは 異教徒の場所、という意味合いになるようです。 その辺の宗教的感覚がよくわからず、映画の絵としての印象のみを強烈に感じますが、 19世紀のキリスト教感を考えると別の意味合いも含んでくるようです。 PR |
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