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日本での「ダラス」の放映は、1981年10月8日木曜日 テレビ朝日系で開始された。 当時、ゴールデンタイムに海外ドラマを放映するのは異例のことだったが、平日の確か夜9時代の枠で放映が始まった。 シリーズの放映に先駆けて、特番まで放映されたのを覚えている。 それだけ力の入ったものだったのにも関わらず、あっさりと半年ほどで、ゴールデンタイムから撤退。 TBSの人気番組「ザ・ベストテン」の裏だったらしいのだが、そんなことも影響したのかもしれない。 吹替えの声優も一部替わり、深夜(といっても11時代くらいだったと思うが)枠で細々と放映が続行された。 吹替えの声優の交替はショックだった。 似たような声の人ならまだしも、ぜんぜん違うのでイメージがすっかり変わってしまった。 それだけ、最初にキャスティングされた声優さんが有名で人気の高い人達ということだったのだろう。 (久米 明、羽佐間 道夫、佐々木功、幡恵子、永井一郎、池田昌子、小原 乃梨子、…) それでも放映が続けられればまだ良かったのだが、これもまた約半年ほどで終了してしまう。 それも最悪の幕切れだった。

アメリカでは、TVシリーズドラマの放映にオフシーズン=夏休みがある。 夏休みが終った9月頃に新シーズンが始まり、3〜4月、時には5月くらいまで毎週新しいエピソードが放映され、そのシーズンが終る。 夏の間は、好評だったエピソードの再放映が行われ、秋になると次のシーズンの新エピソードが放映される。(もしくは打ち切られ別の番組がスタートする。) 日本で海外ドラマを放映する場合は、放映権を買い取ってくるわけだが、これが多くの場合、シーズンごとの契約になるらしい。

「ダラス」以前のTVドラマというのは、シーズンをまたがり、謎を残すようなことはしないのが普通だったようである。 ところが、「ダラス」はこの常識を覆した。 最初のシーズンは、このドラマの主人公 J.R. の妻が身重のまま交通事故を起こし早産、母子ともその生死が定かではないところで終った。 次のシーズンは、なんと、J.R. が撃たれるというシーンがラストだった。 J.R. に怨みを持つ人間が複数いて、誰が撃ったかわからない、そして、J.R. の生死もわからない、という多くの謎を残したままの幕切れである。 主人公が死んでしまっては話が続かないので(笑)、人々の関心は、「誰が」犯人かということになるのだが…。

後で知ったことだが、放映当時のアメリカでは、J.R.役のラリー・ハグマンがギャラアップを要求してストライキを起こしたため、物語の上でJ.R.の生死がどうなるか本当に怪しかったらしい。

日本での放映はここまでだった。 つまり、犯人が誰かわからないまま、終ってしまったのである。 最悪。

いろいろな噂は聞こえてきたが、犯人がわからないまま、時は流れた。 当時、日本で出版されたノベライズ本を読むという手も あったかもしれない。 しかし、図書館に入るようなタイプの本ではないし、かといって文庫本ではなくハードカバーだったので決して安くない。 どうせなら TVドラマ で先を知りたい…。きっと放映再開するに違いない…。 当時は本気で放映再開がそう遠くないうちにあるに違いないと思っていたので、ノベライズ本を読むことは躊躇無く見送った。

その間もアメリカでは「ダラス」の放映が十年以上(〜1991年 全357話)続いていたらしい。

日本で「ダラス」の放映と再会できたのは、1999年6月のこと。 SUPER CHANNELが全話放映してくれるという。 放映に先だって、スーパーチャンネル10周年の特番の中でも取り上げられた。 この特番の案内役は、「ダラス」でレイ役として吹替えを担当されていた羽佐間道夫さんだった。

とりあえず、1話からの放映。早く、J.R. を撃った犯人を知りたい!と思いつつ、じっと我慢。 同じ頃、スター・チャンネルで、TVシリーズ後に製作されたという続編とも言えるTVムービー(「J.R. Returns」「新たなる野望」)が放映されていた。 TVシリーズの方が終っていないのに、その後の話を放映してどうする、と思う。 TVシリーズ終了後にはきっとまた放映してくれるに違いないと信じて、見ないでおく。 1年たち、ようやく J.R. が撃たれたところまで話が進む。2000年6月。長かった…。

予想できたことだが、吹替えの声優さんは総入れ替え。 最初の放送から20年近い時間が流れているので、同じ声優さんを使ったとしても違和感はあったに違いない。 が、違う、違う、違う…、なかなか馴染めない。 声の違い以外にも、脚本の担当者が違ったのだ。(当たり前だが。) 同じ人物でも、言葉遣いが変わってしまったのである。 英語でドラマを楽しめればこんな悩みはないのだろうけど。

なかなか馴染めない、と思うのも、過ぎてしまえばあっという間。 声優さんの交替にはじきに慣れてしまう。 吹き替えだけでなく、オリジナルでも同じ役で俳優さんの交替がある。 あまりあちらでは気にしないのだろうか。 ぜんぜん雰囲気の違う人が演っていたりする。 その逆で、同じ人が違う役で出て来ることもしばしば。 こちらはあまり気付かない。 が、吹替えで一人の声優さんを違う人にキャスティングしているのは、スーパーチャンネル制作分になってから、ばればれだ。 画面から目をそらしていると勘違いすることもある。 オリジナルは既に製作が終っているのだからある程度計画性をもって吹き替えのキャスティングができないものかと思うのだが、それも滅茶苦茶。 ゲスト・キャストがメイン・キャストに昇格することもある。 初登場時には予想できなかった意外な人物同士が接触、会話するような場面が出てくる。 吹き替えではニアミスどころか一人二役の一人芝居になってしまうような場面まであるのだから、ちょっとハラハラする。 放映してくれるだけでも嬉しいのだが、そこまで吹き替えの人件費を押さええなければならないのかと勝手に想像すると、ちょっと複雑な気持ちでもある。

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