映画にドラマに…と何かと話題の小説。
ちなみに映画もドラマも見ていない。
見ていないから読んでみた。
わりと“読みやすいかも”な軽めの文体。
スイスイ読めるが…
“嫌われ松子”とタイトルにあるが、松子って嫌われていたのか?
実弟には嫌われていたかもしれないが、他の登場人物が松子を嫌っていたとは思えない。
しかし、タイトルとしては、人目を引くという意味でこれが正解かな。
松子という主人公に共感したり同情したりできる人は少ないのではないかと思う。
自分で不幸を作り出しているには違いないが、その場面その場面で転落を描く為に、松子という人間の性格がぶれているように思う。
だから余計にわからなくなってしまうのだ。
不幸の連続というシチュエーションを多少無理があっても作り出さないと物語的には成立しないのだろうが、もう少し練る事はできなかったのか、と思わなくもない。
現在と主人公の過去をいったりきたり、というのは小説ではよくある手法だ。
その場合、現在における人物をどう設定するかが難しいと思うのだが、そこに主人公松子の甥を設定したのはイマイチ“弱く”=説得力に欠けないか?
甥の笙が松子の手がかりを追っていくのにそこまでする動悸がよくわからない。
だってなんといっても新幹線。
時間は余っているかもしても、仕送り生活の大学生にそこまで金銭的余裕があるか?
あったとしてそういう使い方をするか?
大いに疑問である。
そこを割り切ればいいのだが、やはりもう少し練る事はできなかったのか、と思わなくもない。
それから、玉川上水…確かに水が流れていない時期があったのは事実らしいが、合ってるだろうか?
そんな細かなことまで気になってしまった。
ま、そこはフィクションとしての演出と言ってもいいかもしれないが…。
…ということで、練りが甘いなぁ、と思う一方、軽くてスイスイ読めるので深く考えなければそこそこ面白いし暇つぶしにはなる。
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