ヒッチコック作品で、一応サスペンスもので…というわりにはタッチが軽いのにびっくり。
しかし、1938年の英国製作ということで納得。
ヒッチコック作品は1950〜60年代のものを何本か観ているのでそれらと比較してしまった。
監督としての作風も変化するのだろうが、それ以上に世間が求めるエンターテイメント性が大きく変わっていっただろう。
厳しい目で見れば、作りこみが甘い、と思わせる部分は多々あるが、逆に1938年ということを考えると驚きかもしれない。
冒頭はミニチュアで撮られているのはすぐにわかるが、丁寧に作られていること!
肝心のバルカン超特急が出てくるまでの少々時間がかかるので、邦題が適当かというとはてさて…。
どのレディが消えるのか、と想像しながら冒頭の人間劇を観た方が面白いかもしれない。
サスペンスを描きつつそれに終始しているわけでなく、脇役の人間劇が鋭い。
肝心の主人公アイリスが、最後にあっさりと婚約者をふってしまうのは唐突な感じ。
ハッピー・エンドにもっていく結びにより、決して重くならない気軽に楽しめるエンターテイメントになっている。
アイリス演じるマーガレット・ロックウッドのしゃべり方や雰囲気がヴィヴィアン・リーを思わせる。
英国製作ということと年代を考えると、ヴィヴィアン・リーがキャスティングされていても不思議はない頃。
所属プロダクションとかの関係であり得ないだろうけど…。
それはともかく、この頃の英国の女優さんってこんな雰囲気が標準だったのかもしれない、などと思った。
これだけ面白いストーリーなのだから、現代風のセンスでリメイクしたらもっと…などと考えたらとっくにリメイク作品「レディ・バニッシュ/暗号を歌う女」が出ていたようだ。
いきなりタイトルがネタばれなんですけど…(汗)
しかし、結局、オリジナルを超えられなかったようで…。
なんでもコミカルタッチにしたとか。…そりゃダメだ、観ていないけど、たぶん。
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