そもそも私が写真を撮るようになったのはなぜか?
今思うと不思議である。
小学校のクラブ活動を選択しなければならない、となったときに「写真クラブ」を選んだのはいったいどうしてか?
その頃のことを忘れてしまったわけではないが、その理由はきっとない。
なんでもよくてたまたま「写真」を選んだだけのことだった(と思う)。
だいたい写真クラブに入ったらカメラが必要だ、という認識すらきちんと持っていなかったように思う。
しかし、私はすぐに「“一眼レフカメラ”が必要だ」と考えるに至る。
もちろんどこの家庭にも一台くらいはかならずあるコンパクトデジカメでもなんら問題はなかった。
が、どうしても“一眼レフカメラ”が欲しかった。
何か欲しいものがあるときどうするか?
子供というのは、ありとあらゆる方法で親を言いくるめて買ってもらえるように算段するものである。
親もそこのところはわかっていて、聞き入れる時もあればそうでない時もあるのだろう。
“一眼レフカメラ”に関しては、どうしても買ってくれる、という返事を親から引き出せなかった。
仕方がないので“お年玉をはたく”ことにした。
貯金してある“お年玉”は親の管理下にある。
自分で“はたく”ことにしたからといってそのことに親が同意するとは限らない。
ハードルは高いように思ったが、意外にすんなり許可してくれた。
こうして私は自分専用のカメラを手に入れた。
しかし、せっかくレンズが交換できる一眼レフを手に入れたのだが、そこで力尽きる。
フィルムカメラというのは、フィルムを買ったり現像したり、とランニングコストがバカにならない。
お小遣いでまかない切れない部分は親を言いくるめて出させていたに違いないが(そういう細かいことは忘れた…)、交換レンズを揃えるなんていうのは夢のまた夢だった。
幸か不幸か、手持ちの標準レンズのみで、なんとかする(撮る)方法を身につけることになる。
買うことのできたカメラは入門クラスのオートAEすらついていないもの。
半ば必然的にカメラの原理から勉強することになる。